完全版 天才ガロアの発想力 (2)

(182ページ)

  • F: 体
  • K: Fの数を係数とする方程式の解から作った体
  • G: 体Kの体F上の自己同型の成す群(i.e.,Fの元は固定される)
  • H: Gの部分群

とする。

ガロアの定理:部分群と中間体の対応

  1. Hのすべての元で不変となるKの元の集合は、FKの中間体を作る。
  2. Gの元のうち、体Fと体Kの中間体Mの数すべてを不変にする自己同型は、群Gの部分群となる。

 

固定体:上記 1. で、体Kの体F上の自己同型を成す群Gの部分群Hの元で不変になるKの元の作るKFの中間体を「部分群Hの固定体」と呼び、K(H) と書く。

    K(H) = \{x \in K|\forall h \in H, h(x) = x\}

 

固定群:上記 2. で、体Fと体Kの間にある中間体Mの元のすべてを不変にする群Gの自己同型の作る集合を「中間体Mの固定群」と呼び、G(M) と書く。 

    G(M) = \{g \in G|\forall x \in M, g(x) = x\}

 

ガロアの定理:部分群と中間体のハッセ図の一致

Gの部分群のハッセ図と体Fと体Kの中間体のハッセ図は、系図として完全に一致し、集合の包含関係は逆になる。

 

ガロアの定理:ガロア理論の基本定理1

F と体K の中間体M の固定群 G(M) で固定されるのは M の数のみである。i.e., K(G(M)) = M。また逆に、部分群Hの固定体に対する固定群はH 自身である。i.e., G(K(H)) = H

 ある数x が中間体M の元であることを調べるには、M の固定群H (=G(M)) のすべての自己同型でx が不変であれば、x \in M がいえる。

  • f_M: 群Gの自己同型fM の数だけを入力するように制限したもの

とする。

このとき、f \in H \Rightarrow f_M = ``Mの恒等写像 (e_M)'' が成り立つ。...

ガロアの定理:ガロア理論の基本定理2

  1. G に属する自己同型を体 K(H) に制限して作用させたものがすべて体K(H)F 上の自己同型となるのはHG正規部分群であるときであり、その場合に限る。
  2. G の部分群HG正規部分群であるときは、固定体 K(H)F上の自己同型の成す群は、群G正規部分群Hによる右剰余類の成す群と同型になる。

つまり 1. は、H \triangleleft G, f \in G \Leftrightarrow f_{K(H)} \in G(K(H))

2. は、H \triangleleft G \Rightarrow \{f_{K(H)} \in G(K(H))\} \cong G/H

1. の証明

f \in GM = K(H) とし、M' = f_M(M)H' = fHf^{-1} とする。(H'Hf による共役な群。)

M' = K(H') を示す。

(続く)